あ
アイ、パリジャン・アイ
ペグやフロッグ、その他のパーツに施される貝象嵌。パリジャン・アイはマザー・オブ・パールの象嵌の周囲を金属のリングが囲うように飾られている。
顎当て、チン・レスト
ヴァイオリンやヴィオラのボディに取り付けられる成型された木材パーツで奏者が顎で楽器を保持するための補助具。顎当ては黒檀やローズ・ウッド、柘植(ボックス・ウッド)或いはプラスティックが用いられる。19世紀初期にルイ・シュポーア(Louis Spohr)によって、より良い左腕の自由性と技術のために発案された。
アジャスター
テイルピースに取り付けるネジ式のチューナー、組込みタイプやギア方式のペグもある。
い
板、プレート
楽器の表板、裏板。
う
上ナット
ナットを参照。
渦巻き、スクロール
ネックの最上部の渦巻き部分。製作家の個性が現れる。
裏板
ヴァイオリンの表側の反対側でブリッジのない面、主流は杢の美しいメイプル材で2枚板や1枚板が用いられる。稀にバーズ・アイや玉杢のメイプルも用いられる。
え
F字孔、Fホール
ヴァイオリンのサウンドホール、fのような形をしていることから。
Fストップ
弦長を参照。
エンド・スクリュー
スクリュー・ボタンを参照。
エンド・ピン
チェロに取り付けられるエンド・ボタンで長い棒を含む。スティール或いはカーボン・ファイバーが用いられ、床上で楽器の保持をサポートさせるためのもの。
エンド・ボタン
ロウアー・バウツの下部に取り付けられているピンでテイル・ピースを保持するためのテイルテイル・ガットを保持する。
お
表板
F字孔があり、ヴァイオリンのもっとも重要なパーツでもある。ボディの表側。テーブル或いはベリーとも呼ばれる。この反対側は裏板。
か
肩当て、ショルダー・レスト
シンプルなパッド状のクッションのものから調整可能な支持具を備えたものまである。肩当て(ショルダ・レスト)は肩の上でヴァイオリンやヴィオラを支える補助の役割を果たし腕の動きの制限を抑えより自由に動かせることを目的としており、指板状での動きやすさを求めている。
ガット弦
もっとも原初のヴァイオリンに用いられていた弦で、羊の腸を捩じって作られた弦。その後スティール弦やシンセティック・コア弦へと発展した。
け
毛
弓毛を参照。
弦
ガット、センセティック・コア、スティール・コアなどのバリエーションがあり、巻きは多様な金属が用いられている。スティール弦は安価なこととチューニングの安定性からビギナーも安心して使用できる。またジャズやブルーグラスといったジャンルでも用いられる。ガット弦は向いている楽器が制限されるがバロック・ミュージックの演奏などにも用いられる。シンセティックは現代で一般的な弦でナイロンの芯に様々な素材を巻きつけてキャラクターを創っている。
弦高
弦から指板の間の距離で、測定は指板の駒側の端で行う。
弦長
一般的にはナットから駒(ブリッジ)までの長さについてであり振動と関連する。ヴァイオリン製作者はFストップ、ストップ・レングスという言葉を用い、ボディとネックの付け根の端からF字孔までの間の距離を指す。ナットからボディまでの長さとボディの端からF字孔のノッチ(切欠)までの長さには正確な比率がある。弦長はスケールとも関連がある。
こ
子供用、児童向けヴァイオリン
分数ヴァイオリンを参照。
駒、ブリッジ
弦はこの駒、ブリッジ上に張られ弦の振動を表板に伝える。駒はヴァイオリンの表板に接着されていない。適切な位置は楽器ごとに異なるが、弦の張力によって保持されている。
魂柱、サウンド・ポスト、アニマ(伊)
細い円柱状の木材パーツで軽い。表板と裏板をつなぐように設置されている。魂柱の太さと設置位置は楽器の音響に大きく影響を与える。加えて駒の高温側では弦の振動を駒が吸収するため、その支点の役割をも持つ。日本語の魂柱とイタリア語のアニマは共に「魂」を意味している。
さ
サドル
黒檀で出来ている棒状のパーツで、テイル・ピースに取り付けられたテイル・ガットの張力から表板を保護するためのもの。ボトム・ナット或いは下ナットとも。
し
指板、フィンガー・ボード
演奏時にこの指板に対して弦を押さえる。ヴァイオリン族では黒檀(エボニー)が用いられ、フレットはない。
Cバウツ
ボディの細くなっているウエスト部分。
ジャーマン・シルバー
ニッケル・シルバーを参照。
す
スクリュー・ボタン
弓毛を張ったり緩めたりするために用いられる。エンド・スクリューやアジャスターとも。フロッグ内部のアイレットと呼ばれるパーツに通されている。
スティック
木製であったりカーボンであったりもするが弓の部分。
ストップ
弦長を参照。
ストリング・アジャスター
ファイン・チューナーを参照。
ち
チーク
ペグボックスの側面。
チャネル、チャンネル
ボディの表板・裏板ともにエッジ側で低くなっている部分でここからアーチの膨らみが始まる。パーフリングはここに設けられている。
チューニング・アジャスター
ファイン・チューナーを参照。
調弦、チューニング
ヴァイオリンはペグやファイン・チューナー、アジャスターなどで調弦(チューニング)される。
て
テーブル
表板を参照。
テイル・ガット
糸、金属やシンセティックで輪の状態にし、テイル・ピースとエンド・ボタンを繋げる。
テイル・ピース
このテイル・ピースに弦が取り付けられる。またテイル・ピースはエンド・ボタンに輪状のテイル・ガットで取り付けられる。素材は黒檀(エボニー)、ローズ・ウッド、柘植(ボックス・ウッド)などが用いられる。
な
ナット
棒状の木材パーツで、弦が通されるネックの上端に取り付けられている上ナットとも呼ばれ、黒檀(エボニー)が用いられるが稀に象牙などの素材が用いられていることがある。
に
ニス、ヴァーニッシュ、ワニス
音響と美観のどちらにとっても重要である。多種の天然素材から製作される。天然色素や人口色素で色付けされる。硬すぎると硬くギラついた音色になりやすく欠けやすい。また柔らかすぎると輪郭のない音色となりがちである。ニスにはアルコールが基剤となるアルコール・ニスと油が基剤のオイル・ニスがある。
ニッケル・シルバー
銅、亜鉛とニッケルの混合金属。ジャーマン・シルバーとして知られている。
ね
ネック
スクロールとヴァイオリンのボディをつなげている部分、パーツ。指板(フィンガー・ボード)はこのネックに取り付けられる。ネックとスクロールは一体パーツであるが継ネックと呼ばれるネックの取り替え修理などが行われた場合はその限りではない。
は
パーフリング
象嵌であり表板と裏板の端(全周)のクラック(割れ)がパーフリングより内側に及ぶことを抑えている。製作家の個性が現れる。
バス・バー(力木)
木製で長い棒状の形をしており、表板の低音弦(G)の内側に沿って取り付けられている。ブリッジからの振動を表板全体に伝える役割を持っており、スプルース材が用いられる。
バロック・ヴァイオリン
現代において主流のネックの長さやバス・バー(力木)ではなくそれ以前の時代のもの、あるいはその時代の楽器をモデルとしたものでメローなサウンドが特徴。ガット弦が張られバロック・ミュージックの演奏に用いられる。
ひ
ヒール
裏板のネックが接着されている半円状の部分、ボタンとも。
ふ
ファイン・チューナー
テイルピースに取り付けるネジ式のチューナー、組込みタイプやギア方式のペグもある。目的とする音程までのおおよそをペグでチューニングし、その後ファイン・チューナー、アジャスターで最終的な音程までチューニングする。ファインというのは精度を高めるという意味を持つ。
フィッティング
ヴァイオリンに取り付けられている交換可能なパーツの総称。例)テイル・ピース、顎当て、エンド・ボタン、ペグ、ナット、指板も削り直しや交換を行うことがあるため指板も含まれる。
フルサイズ・ヴァイオリン
一般的なサイズで4/4である。分数ヴァイオリン参照。
プレーン弦
何も巻かれていない弦。ワウンド弦を参照。
フロッグ
弓毛が取り付けられている持ち手側のパーツ。フロッグの底はスライド式で毛はファンネルまたはDリングと呼ばれる部分に収められる。素材は黒檀(エボニー)が主流で鼈甲や象牙、その他の代替素材が用いられる。
分数ヴァイオリン
ヴァイオリン或いはヴィオラを小さくさせたサイズで児童向けとしてデザインされている。分数楽器には分数サイズの弦が張られる。ヴァイオリンには1/16から3/4までのサイズが揃っている。
へ
ペグ
ヴァイオリンはこのペグを用いてチューニングされるが、同時に1つ或いは複数のファイン・チューナーを併用する。主な素材は黒檀(エボニー)、ローズ・ウッド、柘植(ボックス・ウッド)などが用いられる。
ペグ・コンパウンド、ペグ・ドープ
ペグの回転をスムースにさせる塗布剤で多くの商品が販売されている。
ペグ・ボックス
チューニングのためのペグがこのペグボックスに取り付けられる。ペグボックス内はペグに巻かれた弦を収納することとなる。
ほ
ボウ・グリップ
弓のスティックに巻かれている革、また銀線やシルク、人工クジラ髭が巻かれている。英語ではサム(親指)・グリップとも。
ボディ
表板、裏板そして横板で構成されている。
ボトム・ナット、下ナット
サドルを参照。
ホワイト・ヴァイオリン
ニスが塗布される前の未完成状態の楽器。
ま
マウンティング
弓に取り付けられる金属パーツ。
マスター・ヴァイオリン
一人の製作者によって最初から最後まで製作されたヴァイオリン。
み
ミュート
音を弱くソフトにする弱音器具。練習用ミュートはより音量を抑えることを目的としている。
ゆ
弓
ヴァイオリン族の楽器を演奏するためのものでペルナンブーコ材或いはブラジルウッドで製作されており多種のパーツから構成されて馬の毛が張られている。ボウ・ヘア、弓毛、フロッグ、スティックなども参照。
弓毛、ボウ・ヘア
弓に用いる毛で馬の尻毛からなる束。フルサイズの弓には75cm弱の長さが必要となる。
よ
横板、リブ
ボディの側面。素材はメイプルで完成時の厚みは1mmほど。
ら
ライニング
細く薄い木材パーツでボディの内側全体に接着されている。表板と裏板が接着される横板の内側に接着され強度を確保するとともに接着面の確保という役割を持っている。
る
ルシア
ヴァイオリン製作家の別称。
れ
練習用ミュート
ミュートを参照。
わ
ワウンド弦
多くのヴァイオリン弦は多種にわたる金属線で芯を覆うように巻かれている。通常E線は何も巻かれないプレーン弦であるが、一部の生産元ではワウンド弦のE線もラインに加えている。
