トーン・プロダクション~ヴァイオリンの音色~

ヴァイオリンの板を削り出しているとき、時々は気分転換にと楽器を手に取り、弾きだしたりもします。
私は演奏はめっきりなのですが、名だたる演奏家のCDを聞いてはこんな音色を出せる演奏をしたいなとは常々考えてりしているわけです。

自分の楽器を試奏されているのを聴いていてもしっかりと音楽になっているので、楽器のせいではないはずですし、明らかに私の演奏技術の問題なのですが。
それにしても音色に表現を加えることの難しさといえば、とても難しいとしかいえません。

時間があるときは録音をして聞き返したり、フレーズのニュアンスをどのようにすれば期待しているものに近づけられるのかということを時々考えたりもします。
素敵な演奏は純粋に素晴らしいものです。ですが自分の録音を聴くと現実に対峙しなければならず、心が折れてしまうものです。このような経験はないでしょうか?

トーン、楽器の製作では要となる部分ですし演奏家にとっては音楽の表現のために非常に重要なことです。

録音をしては、弾き直して…、としているとあっという間に時間は経ちますが、その結果は実ったかと聞かれれば、私の場合ではとても実ったとは言い難いわけです。そしてとうとう録音をやめ、現実逃避。。。
難しい問題ですし、演奏家の方々にとっても非常にデリケートな部分です。

進歩が見られないので、いつのまにか録音することから遠ざかってしまうことはありませんか?
録音自体はよく推奨される練習の一部ですが、録音するという方法において役に立ちそうな記事を読んだのでご紹介します。

 

~生徒へのアドバイス~
何を演奏するにあたっても様々なフレーズで様々な異なる音色を作り、少し大袈裟なくらいにしてみてください。
その違いの効果を聴者に届けるためにはどのくらいのアクションが必要であるかを学ぶことが必要なのです。なぜなら、意図した特定の演奏の意図、意思があったとしても何も起こらない場合があるからです。例えば音色の変化の意識に伴って演奏時の表情に強烈な変化が見られても音色の変化が全くない場合もあり得るわけです。
ピアノとフォルテの間には本当意味での違いがあることを確認し、楽器から欲しい音色を得る方法を学んでください。

自身で録音するという方法は多岐にわたって役立ちます。イントネーション、リズム、アクセントなどなど。
ですが、非常にプロフェッショナルな機器を使用している場合を除いて音色の確認のためにはお勧めしません。でなければマイクロフォン向けの小さくクリーンなサウンドを出すことを学んでしまうからです。
それでも自身での録音はフレージングの確認のためには良い方法です。
この場合、録音直後に聴きかえすのではなく、翌日まで待ちましょう。そして再生ボタンを押す前にどのように聴こえるのかを想像してみてください。
たいていの場合、聴きたいものを聴く前にはそこまで深刻にはなりませんね。
おそらく想像していたものと実際に聴こえてくるものには大きな違いがあることがお分かりになると思います。
そしてその違いの差を縮めるという作業に入るのです。

~教師へのアドバイス~
私はクラスの中という限られた状況でしか教えていないもののこれからお話しすることはトーン・プロダクションについて話すときに役に立つことと思います。
特にヴァイオリンやヴィオラのプレイヤーは、顎当てを通してではありますが自分の音を非常に近くから聴くという問題を抱えているので、実際にはどのような音色が出ているのかがはっきりしていません。

たとえば、ヴィオラの生徒に大きな動きで小さなヴィブラートをかけるように言うとします。普段とは異なる音色が出てくるまでできる限りの幅でヴィブラートを続けるのです。
その時に「今したことを演奏でも用いたことがあるか」と言うことを尋ねるのですが、ほとんどの場合「いいえ」と言う返事が返ってきます。ですが残りのクラスメイトに聞いてみると「はい」と言う返事が返ってくるのです。これはとても興味深いことであり、とても頻繁に起こることなのです。

奏者はこれをしていると思い込んではいるものの、実際には別のことをしているわけです。
クラスメイトが教えられているのを見て、奏者がこれを理解するのことへの助けとなります。
演奏しているときはとてもアクティブな状態ですが、自身の音色を聴く際においては一歩退く必要があります。
演奏というパフォーマンスの場では、プレイヤーは実際に出てくるものの多くを聞くことなく、自分たちの解釈に自信を持っている傾向があります。

この聞くことのバランスをとる姿勢を学び、何が起こったのかを判断することは、私たちが聞いたことに基づいて、意図と行動のバランスを取るために次なるものを形成することに役立ちます。
これは教師が話題に挙げたいとしても、生徒のレッスンを準備するために時間を費やさなければならないため十分な時間や機会があるわけではないからです。
しかし、この違いは誰もが誰かしらから経験しているので、ある時点ではこれらの課題について話し合う必要があります。
十分なディスカッションができずとも、これについて言及するだけでも多くの時間を節約となり、近道となります。

Bruno Giuranna
professor of viola at the Stauffer Foundation in Cremona, Italy

良い内容に感じたので音色、ニュアンスの表現の仕方に悩んでいらっしゃる方のご参考になればと思った次第です。

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