ヴァイオリン/テールピースの調整について

ヴァイオリンのフィッティングの一つにテールピースがあります。形状(フレンチ・タイプやヒル・タイプなど)も様々ですし、素材も様々です。

弦を留めているパーツなので弦長に関連することで音響に少なからず影響を与えています。テールピースは弦長に影響を与えますし、テールガット(テールピースをボディに止めている紐)はスプリングのような働きをし、様々な形で共鳴しています。
そしてこの共鳴はボディとの組み合わせによってボディの振動と相互作用し共鳴します。

ウルフ音と呼ばれる共振が思い起こされますね。これもテールピースとの共鳴に依る作用の一つです。

テールピースの素材には特性があり、素材の(弾力性(または剛性))はより高い周波数でどのように振動するかに関わります。これらの効果は質量(重さ/密度)による効果に比べるとはっきりとしませんが素材によって影響の与え方は異なるものの少なからず影響を与えています。
硬さという点ではペルナンブーコ材は最も硬い素材で、続いてエボニー(黒檀)、ローズ・ウッド、ボックス・ウッド(柘植)という順に硬さは低くなります。

テールピースの理想的な重さは楽器に応じて変動しますが、時には密度の高い素材で作られた重めのテールピースが好まれる場合もあります。

アジャスターを取り付ける場合、組み込み式のテールピースでない場合は弦長に影響を与えることになるのでボディの振動に影響を与え、同時に金属パーツとしての重さも加わることとなります。これは時には望ましくない場合がありウルフ音が出る場合と消える場合があります。そして時には音の減少を引き起こすことも。

またテールピースの端から駒までの距離を変えることもボディの振動に影響を与えることにつながります(弦長が変わるため)。つまり駒とテールピースの弦を止めている部分の間の距離も音響的に影響があります。

暗闇の中で手探りの状態から始まるので、基準としてまずはエボニーから試してみると良いかもしれませんね。
テールピースを選択する際には上記のことをふまえて音響的な事、美観的な事、使いやすさ、そしてコスト面という4つの観点から選ぶことができると言えましょうか。
ただ、厳密なルールはありませんが裏を返せば試行錯誤が必要であるということです。
取り付け自体は簡単ですが、弦長を考慮すると必然的にテールガットの長さも考慮しなければならないこととなります。

楽器ごとにキャラクターがあるので試行錯誤の連続、トライ・アンド・エラーの繰り返しとなりますが楽器の潜在能力を高めたい場合にはテールピースを見直す価値はあります。

これらの要点をできるだけ満たせられるような「スポット」をどれだけ見つけることができるかが課題となります。

楽器には個性があるので、IL VIOLINOではお手元の楽器と目的に沿ったテールピース(その他フィッティングを含めて)調整のお手伝いもさせていただいております。
楽器の調整などについてご質問がありましたらお問い合わせをおまちしております!

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