インナー・ビューティー(ヴァイオリンの内型)

新年あけましておめでとうございます!
天候も良く、清々しい年明けですね。どのようにお過ごしでしょうか。

皆さまにおかれましても素敵なお正月をお迎えできていますように。

~IL VIOLINO~ではヴァイオリンのネックに取り付ける指板の準備で2016年を終え、一段楽でした。
新年はというと、これと言ってすることもないもので、どのように過ごそうかと考えていました。外出も年始の人出を考えると積極的にはなれず、結局は自宅で静養という状態です(笑)。

そうはいうものの手持ち無沙汰なのでヴァイオリンの内型を新しく作ろうと思い立ち、その準備をしていました。

ストラディヴァリ作タイタンのモールドと使用予定の木材
これは以前にレーザーカットで作成した内型です

一般的に型を作る場合はモデルとする楽器の実寸大画像資料からエッジ部と横板の厚みを差し引いてテンプレートを作り、そのテンプレートから板材を切り出して型を起こすことがあります。

今回は特定のモデルではなく、ストラディヴァリの遺した型と同じものを作ろうと考えました。

すぐに「この型が必要!」というわけではないので実際のレーザーカット発注はしばらく先になると思いますが、データの準備をしておけばいつでも形に出来ると考えた次第です。今回は”SL”と呼ばれる型をコピーしますが、同じ手法で”G”という型も準備済みです。
データ作成は時間が掛かるので、出来る時にできることを!

紙とペンを用いたアナログ方式で紙資料から起こし、糸鋸盤やバンドソーで板材を切り出す方法が一般的ですが、近所にレーザーカットの会社もあることなので完全左右対称を目指して最近はCADを用いたデジタル方式を採用しています。
(ヴァイオリンの素材は木材なので製作過程においてアウトラインは判らない程度に少しづつ変わってしまいます。根本となる型がしっかりしていれば、より少ない誤差を目指せると考えた結果でした)しかし、こういった必然的な誤差は同時に「雰囲気」を醸し出すように感じます。

データ作成の手順ですが、型の要所と要所の距離を正確に採寸し点を繋げた枠組みが最初に必要となります。(下画像)。
この枠組みにぴったりと合うように画像資料の大きさを調整しますが、画像資料の型そのものが何度も使われた結果や修正を経ているためわずかなズレが生じていますので、高音側と低音側を見比べて、オリジナルの形状を留めている側から起こします。今回は高音側から起こしました。

screenshot-2017-01-02-12-01-58
この枠組みにヴァイオリン内型の画像資料がぴったりと合うように画像サイズを調整

枠組みにぴったりと収まることが確認できれば画像資料が使用するにあたって問題がないということが判りますので、作業を進めます。今回は内型という平面体であるため問題なくぴったりですが、ヴァイオリンの実寸大写真資料では寸法と画像資料が合わないこともあります。撮影の角度の問題やレンズの湾曲の誤差が大きいということなので画像資料への修正が発生してしまいます。

あくまでも、サイズの枠組みが第一にあり、その次に画像資料という順番です。実物が手元にない以上これがベストです。

screenshot-2017-01-02-12-22-45
この片側だけのアウトラインを反転コピーさせると左右対称に

アナログ方式ではペンの線の太さがあるため、切り出し時にはその誤差も生じてしまいますが、デジタル方式ではその心配はありません。見辛い部分は拡大表示することで、より忠実に再現できます。
(アナログ方式、デジタル方式どちらにおいても、最終的には全体を見渡して微調整を施しますが)

高音側のアウトラインを起こした後は左右反転コピーで低音側を作成。これで左右の対称性も完璧です。

そして左右ともに出来上がったものをコピーして隣に。これはテンプレート用に必要となります(コーナーなどのブロック部を切り出す際に内型に重ねて罫書くために必要)。
した画像では左が内型用で右側がテンプレート用です。

screenshot-2017-01-02-13-11-20
解りやすいようにアウトラインを目立たせています

(右)テンプレート用
ストラディヴァリはコーナー部分のみのテンプレートを使用していたようです。私もこのコーナー部分のみのテンプレートを試したことがあるのですが角度合わせなどに手間取ってしまい向いていなかったので全体のテンプレートを準備します。中心部分の小さな2つの穴に金属棒を差し込むと内型とテンプレートがピッタリと合うようになっています。またテンプレート側には中心線を割り出せるような切り欠きも。

(左)内型用
内型用にはブロック部分となる箇所を削除し、中心線とモデル名を記入されるようにしておきます。またクランプ用の穴を追加しておきます。
以前はクランプ用の穴の取り方やブロック取り付け部分の形状など、その時々の好みに対応できるように未加工の状態でアウトラインだけをレーザーカットしていましたが、好みの使い方が安定しているので事前に加工することにしています。穴開けや切り出しの手間を省けます。

実はブログに書こうと思いながらポイント毎にスクリーンショットを取っていましたが実線が見づらく使用できない画像だったということに最後に気づきました。そのため最終的なスクリーンショットだけとなっていまったことをご容赦ください。。。
とはいうものの、型を作成するだけなのでレーザーカットは過度な手の掛けようですし、製作過程で発生してしまう誤差を考慮すれば、型にここまで精度を求める必要性は不要かもしれません。
とことん拘るのであればX軸とY軸から「設計」する事がより完璧ですが、ストラディヴァリの型を使いたいという点から今回の手法を採りました。ちなみにヴァイオリンの設計は中心線から全てが始まり、コンパスと直定規のみでできます。

ここまで準備が終われば、型を必要とする時にこのデータでレーザーカットを発注するのみです。

レーザーカットで切り出された内型というのは既製品として販売されてもいますが、どのようにデータを取っているのかというところまでは判らないものです。その点、自身がCADで起こせば納得のゆくまで手を加えられますし、後々に内型自体に修正が必要となっても、どのような修正を加えればよいのか判断もしやすいという安心感や信頼感があります。

型には製作者の思想が詰まっているものです。何を優先させるかという決断の連続と言いましょうか。それぞれの考え方が根本にあり、そこから形となってゆくわけです。そういった点でも自分でデータ編集できるというのはアドヴァンテージであると感じます。(レーザーカット発注は大げさすぎるかもしれませんが。。)。

立体を切り出す(削り出す)には”NCルーター”という工場機械がありますが手軽ではありませんし、ヴァイオリンを削り出すわけでもありませんので目的にかなっていません。しかし昨今のデジタル分野では2Dのみならず、3Dプリンターも登場しているので、手軽な立体的資料作りとして活用できるのでは?と内心では期待しています。機会があれば手を出してみたいものです。

型は全ての礎となる物でもありますし、もちろん楽器の外観はこの内面的な型によっても左右されます。楽器もそうですが、人としても内側から美を磨きたいものですね。
ということで、「インナー・ビューティー」を今年の抱負に(笑)。

最後となりましたが、改めまして、皆さまにおかれましても2017年が良き年となりますように!

home

blogtop

custombuilt

rehairing

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中