2月になると一段と寒さを感じます。
リブが出来上がり、ライニングと呼ばれるパーツを取り付ければリブは完成に近づくこととなります。
この2mm弱の厚みのライニングはリブの内側全周、表板側と裏板側のそれぞれに接着され、リブの強度を高める為、また表板と裏板がリブにしっかりと接着される為の接着面を広げています。ライニングを接着する前のリブの厚みは1mm弱なので接着されたとしても強度は望めず、剥がれやすくなることは想像できます。ライニングは2mm弱なので合計3mmの接着面となるので必要最低限の接着面となります。
ライニングにはスプルース材や柳材が用いられます。今回は表板材のスプルースに十分な余白があったので、表板材からカットしてライニング材としました。

カットした材を2mm強の厚みでスライス状にします。高さと厚みを揃えると8本出来たのですが、局所的に薄い場所もあったので実質は6本です。
表板側と裏板側のそれぞれ3本づつで、丁度良い量が取れました。加工にミスがあると予備的な材がないことは心許ないですが。。


ライニングの取り付けから表板/裏板の取付手順については方法が2つあります。
1: リブの裏板側にライニングを施し、裏板を接着してから型を抜き、その後に表板側へのライニングを施し、表板を接着する方法
2:リブの裏板側、表板側の両側にライニングを施し、型を抜いてから裏板、表板を接着する方法
どちらの方法でも良いのですが、製作全体の流れを考慮して何を優先させるかによって手順は異なります。
〇〇・スクール(〇〇派)の製作順序というような伝統を重視することもあります。
1の順序では、リブの表板側が歪むリスクがありますが、モールドを外す時にリブを破損させるリスクはありません。またリブがしっかりした状態で裏板を接着できるので木釘(リブと板を接着させる時に仮留めさせるピン)の必要は問いません。
2はモールドにリブが付いた状態でライニングを両側に施すので、リブの変形は最低限に抑えられますが、モールドを外す時にリブを破損させてしまうリスクはあります。またリブのみでは形状が不安定になるので木釘は必要となり、さらに板の接着時には慎重さが求められます。
全体の流れを把握し、目標を設定してメリットとデメリットを天秤にかけて手順を決定してゆけば良いのではないでしょうか。
今回は綺麗なアウトラインを出したいという希望から2の手順を踏むこととしました。
リブを曲げる時と同じくアイロンを使用してライニングを曲げてゆきます。メイプルより柔らかく割れにくいので気楽に行えますが、それでもミドル・バウツは手こずります。

片面で6枚のライニングが必要となるので12枚をリブに合わせながら曲げてゆきます。
曲げ加工後は一晩ほど乾燥させます。曲げ加工の際には水分を含ませますので材が膨張しており、曲げた後すぐに各部のサイズに加工するとライニング材が収縮して短くなってしまっていたということもあります。
例えば、建物には基礎があってこそだと考えるとヴァイオリンの場合にはこのライニングを含めたリブがその基礎に相当するように感じているので慎重になります。

ミドル・バウツのライニングは上下のブロック材に溝を作り、その溝に嵌め込むようにしてしっかりと固定させます。少し短くしては組んで隙間の加減を見てまた少し短くするといったようにサイズを合わせてゆきます。


ライニングの各パーツが良いサイズになれば接着です。

固着したのち、余分なライニングはリブの高さに合わせるために削り落としてゆきます。最初は鉋から始め、最後はガラス板にサンドペーパーを貼り付けた平面で整えます。


ピッタリとしているので解りづらいかもしれませんが、下の画像では外側のメイプルがリブで、その内側のスプルースがライニングです。ブロックもスプルースです。リブだけでは接着面積が非常に狭いのですがライニングによって接着面が格段に広がっています。

こちらはプロックに埋まったミドルのライニングです。(リブの端は最後に切り落とします)


隙間を作ってしまわないこと。簡単な事ですが、曲げ具合や接着時には、やはりコツが必要になります。
ライニングがピッタリだと一安心というのが正直なところです。。。