リブも仕上がったので、表板と裏板の切出しに取り掛かりました。
この作業から、ようやく楽器を作るという実感が出てきます。その最初の準備はマーキングから。
リブに合わせてヴァイオリンのアウトラインを印づけます。
板に中心線を引き、その中心線にリブの中心を合わせてしっかりと固定します。
作業は両手で行えると確実さが高まるので、固定するためのツールは本当に助かります。

リブから等間隔にラインを引くためにワッシャーを利用します。鉛筆を常に削りながら(だんだんと芯が太くなってしまうので)、ワッシャーがズレないようにラインを引いてゆきます。
マーキングのズレがないかを確認して、固定を外します。


表板(スプルース)と裏板(メイプル)共にアウトラインを引けたので、しばらく観察していました。
ロング・パターンということで、標準に比べてやや大きいものの、アウトラインを描いた時点では少しぼってりとした、なんとも言えないアウトラインだったのです。
少し困惑し、何度もサイズを確認したのですが、やはり間違いは見当たりません。。。
落としたりしていはいけないので、表板とリブを少し離れた場所に置いて、裏板のサイズを確認するものの、進展はありませんでした。
こんなものなのかな?と思い、ふと遠くに離れた表板のアウトラインを見ると、良い印象が目に映りました。
間近で見る場合と少し離れて見る場合とで印象がガラッと変わったのです。
やや驚きながらも、間違いが見当たらないこともあり、心が落ち着いたので切出し作業に移りました。
切出し作業そのものは慎重に行えば良いだけのことですが、アウトラインのことが頭の中でぐるぐると巡ってしまいます。
切出しを終えて、エッジ部分を処理してから清掃作業を済ませ、改めて切出した表板と裏板を眺めていました。
平面で見ていた時と比べて、思い描いていたアウトラインそのものになっていたことに大感激です。

平面と立体では印象が全く異なるということをとても実感しました。
変わるものなのですね。。。
平面の時は「なんともチャレンジングなことをしてしまった」と正直、平常心ではおられず、裏板のアウトラインを描く時はボタン部分を忘れてしまうといった失態までしでかしてしまったことはここだけの話です。。

今では、これからの作業も楽しみになってきました。
“ストラディヴァリ1698″Joachim”/表板と裏板の切出し” への1件のフィードバック