ストラディヴァリ1698″Joachim”/観察

今は雨音がしっとりと聞こえてきますが、日中はとても暖かく、カフェのテラス席でお茶をしたくなるような日和でした。
表板のアーチがやや浮腫んだように見えていたので、少し修正を行い、F字孔を描き入れました。

ヴァイオリンの表板のアーチングは無事に納得のゆくアーチに収まり、アーチングの最終局面を迎えました。
F字孔の配置です。
出来上がったアーチにF字孔を配置し、アーチの起伏を含めた全体のバランスを確認するためです。

新たにF字孔のテンプレートを作ろうと考え、残っていた素材を探したのですが、薄いアクリルシートを全て使い切ってしまったのか?見つけることが出来ませんでした。

とりあえず裏側を粗彫りしようかとも考えましたが、時間的に中途半端だったので暖かい日和でもあったので購入のために外出した次第です。
「せっかく外出するのなら」と考え、準備している各種資料類のプリントアウトも同時に行いました。

資材購入で外出したついでに資料のプリントアウトも
資材購入で外出したついでに資料のプリントアウトも

薄いアクリルシートを必要な大きさに切出します。

薄いアクリル板をテンプレートの素材にします
薄いアクリル板をテンプレートの素材にします

糊で貼り付けてカットしてゆきます。

資料を貼り付け
資料を貼り付け

ここで活躍するのが、この刃先の湾曲したハサミです。直線を切ることには向いていませんが、湾曲線では大活躍。湾曲した刃先が狙い通りに切り進めてくれます。

ハサミでカット
ハサミでカット

テンプレートが出来上がれば、画像資料と睨めっこ。
紙面の資料も直接書き込むことが出来るので便利ですが、モニター上では拡大/縮小が簡単に行えますし、微細な計測ができるので便利です。
何よりも役立っているのはラインを引くシミュレーションが出来ることです。
画面上でF字孔の割り出しラインを引いて、それが正しければ作業中の板にそのままライン取りが出来ます。
板には最低限のラインを引くだけで済みますので、不必要に表面を傷めることもないので効率と作業性が両立されます。

資料上でシミュレーションしながらf字孔の位置を割り出してゆきます
資料上でシミュレーションしながらf字孔の位置を割り出してゆきます

画像資料は平面ですが、作品は立体的です。
テンプレートがあるからといって、それをそのまま板へ転写しても上手く行かないものだと思っています。
適切なF字孔の配置は正確に割り出されなければなりません。そのためのしっかりしたラインを引くには、何よりも観察することが第一です。

時には見えていなかったものが見えるようになったりすることもあるので、観察するための時間は惜しみません。

ストラディヴァリはF字孔を配置するにあたって、上の丸孔と下の丸孔をボディごとに割り出して、その孔を基準にF字孔の位置を決定していたことは良く知られた話です。

ですので、ストラディヴァリのF字孔のテンプレートは丸孔以外の部分のテンプレートです。ちなみに現代で多く用いられているテンプレートは丸孔を含めたものが多い印象です。このテンプレートや配置方法も製作家ごとの哲学が顕われる箇所ですし、何よりも音色に関わる部分なので興味は尽きません。

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ストップ(駒位置)はモデル本来の長さにすることにしました

 

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