表板へのバスバー取り付けと整形・チューニングが終わり、裏板のチューニングも終了を迎えました。
前回では、リブをモールド(内型)から取り外す準備も行なったので、後はリブを外して裏板と表板を接着するのみとなります。
リブをモールドから取り外すと、各ブロックの一部(モールドに接着されていた箇所)が残されたままなので、ここも削り落とします(下の画像では赤く囲った部分です)。
見えないところですが、滑らかさを持たせることで内部の空気の流れも気持ち程度は良くなる気がします。


ブロックの整形を終えれば接着の準備は整います。

現在の主流
現在ではリブがモールドに付いた状態で裏板を接着し、その後にモールドを外すという手法が大半を占めていますが、理由として接着時に歪みやズレが生じにくいということに端を発しています。
そのため、上述の方法の場合は表板・裏板共にアウトラインを切り出して整えた直後にパーフリングを施すことが一般的になっています。
以上がメリットですが、デメリットは裏板を接着してから表板側のライニングを施すことになるので、この時点で気を配っていなければリブに歪みが発生してしまうことでしょうか。
バロック期では
今回のモデルでは古来のようにモールドから外したリブ(ライニングも含む)を裏板・表板に取り付けるという流れを採用しました。それ故、現状ではパーフリングは施されていません。箱となってから改めてエッジをリブに合わせるように整形し、アウトラインを整えて最後にパーフリングを入れる流れとなります。
パーフリングを先に入れていると、リブとエッジの整合性を持たせた時にエッジからパーフリングの間隔にムラが生じてしまうことがあります。パーフリングを最後に入れるメリットはここにあるのではないでしょうか。
手間が掛かるという事と気をつけなければ接着の際リブに歪みが発生するというデメリットはありますが、最終的な美観を微調整できるというメリットがあります。
ストラディヴァリのこのモデルはアウトラインが素敵なので後者の美観を微調整できるということを優先させました。
裏板を接着したところ予定していたラインにぴったりと収まりがよく接着されています。

この方法では木釘がほぼ必須となります。裏板と表板の上下にブロックに達するまで孔を開け、細い丸棒を差し込むものです。この木釘が位置固定を確実にしてくれるので接着時には左右のアウトラインに集中できるようになります。
最終的に木釘は板の面に対してフラットになるように整形しますが、木釘の痕跡は残ったままとなります。個人的にはこの木釘の味わいがとても好きです。

接着している間に他の作業をと思い、前作: ストラディヴァリのタイタンのニスの準備をしましたが依然として下処理の乾燥が進んでおらず、こちらも断念。。下処理はニスと同等、あるいはニス以上に重要ですし工程数もそこそこあるので意外に時間が掛かります。。
ということでブログを更新した次第です。
“ストラディヴァリ1698″Joachim”/サウンド・ボックス ~1~” への2件のフィードバック