スクロールに取り掛かっている間、ストラディヴァリのロング・パターンのニスを進めていましたがスクロールの完成よりも以前にロング・パターンのセットアップが終了しました。
ストラディヴァリ1968″Joachim”は幅が狭くボディが長いロング・パターンと呼ばれるものでダークな音色が魅力的なモデルです。フィッティングの取り付けを手始めに進めたところ、その音色を耳にしたいという心がどんどんと芽生え始めて作業中のスクロールはそっちのけでセットアップまで進めてしまいましたが、とても良い楽器に仕上がったように感じています♬
アンドレア・アマティ1573″Payne”のスクロールは2本切り出し出来た事を前回記しました。

改めて眺めてみると、左はより円形に近く、右は楕円に近いという違いがありありと見て取れます。表情がこんなにも変わるものなのですね。今回のモデルには円形に近い方がアンドレア・アマティ1573の本来のアウトラインなので、左側を使用する事となります。

ともにスタートラインに立ちました。念のためどちらにもスタンプを押していますが使用しない方はこのスタンプは消されることとなります。さて、ここからどのような表情を見せてくれるようになるのか楽しみです。
中心線を確定し、加工を両サイドを切り落としてスクロールを荒削りしてゆきます。

まだスクロールの表面に鋸の跡が残っていたり表面が荒れているのでじっくりとサンドペーパーやスクレイパーで表面を均してゆきます。


スクロール面がなだらかなスロープになった時点でペグボックスを彫り込みます。不慮のアクシデントも有りうるのでスクロールの縦筋を彫るのはペグボックスが終わってからとなります。


スクロール背面の下部に丸みを彫り出して、縦筋を彫り込んでゆきます。作業ペースはどんどん進めていますが、その都度、微調整の繰り返しなので作業内容の前後関係を考えながら行ったり来たりという手順です。
後から見直すことができるため写真撮影も重要な資料となります。上の画像でも左側のペグボックスの曲線部分に凹凸がまだ残っているので、ここも曲線が繋がるようにと微調整を施してゆきます。

ペグボックス、スクロールが9割9分仕上がったところで指板を仮付けし、ネックとグリップの加工に作業を移してゆきます。最終的な仕上げはネックのグリップが仕上がってからとなります。常にアクシデントに備えておかなければなりません。
指板の仮留めが固着したところで両サイドの余分なメイプル材をカットします。最終的な姿が見えてくる場面なので好きな瞬間です♬

ボディの表板・裏板にも言えることですが、作業の終盤はとても時間がかかり根気が求められます。
荒削りは比較的楽ですが、そこから先が重要ですし、より繊細さが求められます。
ネック・スクロールについては常に美を求めて。。。