パーフリング下準備

先日、アマティ・モデルのボディを閉じ直したので総仕上げとなるパーフリングの下準備を行いました。

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このパーフリングはボディの縁に沿って黒・白・黒の木材を象嵌することで装飾的な意味で美観を補うということと、不慮の事故でボディのエッジを欠けさせても筋交いに走っているパーフリングによってボディの割れをパーフリングの外側だけに止める確率を高くするという機能的な役割も持っています。

このパーフリングを入れる段階として、板をボディの形に切り出してからエッジ周辺の板厚を整え、それからパーフリングを入れるという方法が現在では多く取り入れられています。そういった意味ではヴァイオリンのスタートとなる作業にもなります。

このようなパーフリングを先に入れるという方法にはメリットとして板材の裏面が平面の状態なので安定した状態でパーフリングを入れやすいという点やその後の工程になりますが、板厚を正確に整えることが出来るという点が挙げられます。メリットの代償としては、エッジの厚みがこれから薄くなるので、その減少分を勘案してパーフリングを深く入れなければならないという事と板材からボディを切り出した状態で最終的なアウトラインとなっていなければいけないので、ボディのアウトラインの整形についてはスタートの時点で完璧な状態にしなければならないという注意点があります。

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これに対して伝統的な手法でもあるパーフリングの後入れというのは先に述べたメリットと注意点が反対になります。立体として出来上がっているので、不安定でもある状態のなかパーフリングの溝を切らなければならないという不便さはありますが、サウンド・ボックスとして仕上がっている立体物ですのでボディのアウトラインが決定されており、パーフリングも綺麗な輪郭に沿って均等な距離を保つことができます。またアーチングも9割近くは完成しているので、深く溝を切る必要もなく、ほどほどの深さを確保すれば良いというメリットがあります。

これまでパーフリングの先入れと後入れを同じ本数ぐらい施してきましたが、仕上がりを振り返ってみると、あまり大差がないのかも?と最近は思うようになりました。どちらの方法を採ってもパーフリングの溝の切り方やパーフリングの合わせ方や入れ方というのは根本が同じなので鍛錬あるのみの部分だと感じています。

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以前は後入れの方が仕上がりが良いかな?や、最初に入れた方がアーチングも厚みも把握できて良いのかな?など考えていましたが、いずれの手法についてもメリットとデメリットを理解して入れば自ずと注意点が見えてくるので今ではその都度の流れに任せています。

さて、今回は後入れという方法でパーフリングを施すので、先立っては確認の意味も兼ねて鉛筆で下書きを行いました。

まずはコンパスで外周に沿ってラインを描き入れます。

その後、コーナー部分についてはテンプレートを使ってパーフリングのラインを印づけます。ここのカーブはRが強いのでパーフリング・カッターというツールが使えないのでアートナイフでフリーハンドの加工となります。

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このコーナー部分のパーフリングのラインというのは厳密にはエッジから等間隔ではありません。そのため、何度も描いてはバランスを確認して最終的なラインを決定します。

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一通りラインを描き入れたらパーフリング・カッターの出番です。

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これはカッターという名前がついていますが、実際には深く切り込むことができないので、二枚刃の罫書きツールに近いものです。とはいえ、刃先が甘くなっていると正確な作業はできませんので、研ぎの作業を挟みました。

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分解です。

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金属パーツは真鍮なので、磨いて輝きを取り戻しました。これから刃を研ぐのですが、しばらく砥石の面出しをしていなかったので、修正砥石で砥石に完全な平面を作ります。

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長い間、鑿や細い刃物を研いでいたので窪みがひどいものでしたが、無事に平面が整いました。

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修正前と比べると新品同様にまで戻り、嬉しい限りです。パーフリング・カッターの刃を2枚と溝彫りのツールも一緒に研いで準備万端です。

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パーフリング・カッターに刃をセットして、必要な間隔にセッティングです。

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下書きしたラインを目安に、パーフリング・カッターをしっかりとエッジに密着させた状態で罫書いて行きます。切り込みは浅くても良いので等間隔を意識します。何周も罫書くので切り込みの深さは次第に深くなります。

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パーフリング・カッターだけでもしっかりと切り込みが入りますが、深さが足りないのでアートナイフで切り込みをもっと深くします。

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この時にコーナー部分にも切り込みを入れます。

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一定の深さが切り込めたところで一休みです。急いでも良い結果を得ることはできませんので休憩も忍耐の一部だと実感しています。

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そうこうしていると、郵便物が届きました!

先日、ブログにも書いたオリジナル切手の到着です。

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切手1枚の大きさが意外と大きくて存在感を感じます。使う時が楽しみですね。

次回はパーフリングの溝彫りやパーフリングを入れる工程をご紹介いたします!

 

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