メディチの準備と心の準備

台風21号は力強さを感じさせられました。小学校の面談のため少しだけ外出したのですが、台風の風力を久しぶりに体感しました。相鉄線では落雷もあったようで。。

小学校の面談では日頃娘が頑張っている事を聞かせていただき、娘にもっと優しく接していたいという気持ちが自然と出てきました。子供は可愛いですね。

そして、自分自身もすべき事を全力で行っていきたいと感じながらメディチの続きに手をかけました。

まずは横板材の長さが足りるのか不安だったので、この材をヴィオラに使うことができるかを調べました。紐をモールドに沿わせて横板の長さを各部分で調べます。それぞれの長さを調べて、横板に当てがったところ、ギリギリの長さで使えることが分かり一安心。失敗は許されませんが、ヴィオラはヴァイオリンと比較するとコーナー部分の湾曲が緩めなので楽観視しています。

01

製作が始まると、スムーズに作業を進められるように、出来る限りの準備は今のうちにしておきます。

モールドはもちろんのことですが、F字穴やネック・スクロールのテンプレートも準備しておくと気分も朗らかに作業を開始することができます。

02

スクロールのテンプレートは塩ビシートを切り出しました。この渦巻き部分は細かい間隔で穴を開けておき、渦巻きを木材へ写し取れるようにしておきます。

その穴開けのために印をつけていたのですが、どこからともなく視線を感じて変な感覚でした。ふと、手元を見つめ直すと、、、印をつけた部分が「まつげ」になっていて、お目目ぱっちりな表情が浮かんできたのです。視線はここからだったのかと妙に納得しました。

渦巻きの中心は「目」と表現されるのですが、この状態ではまさに「目」ですね。

03

 

この数日間、ヴィオラの準備に明け暮れているのですが、楽器製作に関して色々と思う部分や区切りをつけたい気持ちがあり、ヴァイオリンも製作することにしました。

1つの整理となるかもしれませんし、そのつもりで取り組みたいと考えています。

モデルは色々と悩んだのですが、ストラディヴァリのメシア1716です(メサイア、サラブーエとも)。モールドとF字孔のテンプレートはかねてより準備していたものを使用します。

中心に穴を開けて板材に固定してモールドを作ります。

04

ストラディヴァリのヴァイオリンとヴィオラのモールドを並べて心の準備体操。どちらもストラドの優美なアウトラインを感じられます(モールドの仕上がりは別としてですが、、)。

05

 

メシアのモールドも良い感じで切り出せています。図面と合わせてピッタリである事を確認できると一安心です。横板を取り付けると変更できませんので慎重に判断してゆきます。

06

先日、ヴィオラの製材をやっと終えたところでしたが今回はヴァイオリンのために製材です。

ガイドを取り付けて、挽き割りを。やっぱりバンド・ソーを買っておくべきだったかもしれませんね。。こんなに早く再び挽き割りをするとは思っていませんでした。。

07

挽き割りのスタートでは、いつもながら挽き割りし終える気がしません。。それでも少しづつ刃を入れてゆきます。

08

まだまだ先は長いですが、この程度まで切り込めると見通しがついた気持ちになれます。

09

挽き割りにのみ集中。普段は空いた時間に少しづつ筋トレをしているのですが、この挽き割り作業の方が筋肉に効く感じがします。

10

硬いメイプル材の挽き割りが終わると同時にスプルース材の挽き割りへ。最初に辛い作業を終えている方が気持ちも楽なので、メイプル材を最初に切るようにしています。比較的楽なスプルース材はどんどん切り進めることができるので、むしろ楽しささえも感じられます。

11

どちらも挽き割りを終えたので、表面を均して綺麗にします。この後、接ぎ合せを済ませました。

12

板の接着を待つ間、アーチのテンプレートを作ります。前夜に準備したデータをプリントアウトし、板材に張りつけて切り出してゆきます。アーチのテンプレートは作業効率を高めるツールで目安程度の役割ですが、手は抜けません。綺麗なカーブを目指してヤスリで修正しながら仕上げてゆきます。

13

こちらはテンプレートから切り出した端材です。

アーチを作った板を切断したらこのような様子かなと想像させられます。MRIやCTみたいですね。

14

ようやくヴァイオリン、ヴィオラともに必要なツールが整いました。これからモールドにブロック材を取り付けて製作のスタートを切ることとなります。

ふと思い出しましたが、ブロック材の製材がまだでした。。さておき。。

15

これからの時間のために清掃です。掃除というのは気分を落ち着けてくれます。ただ綺麗にするという事だけに集中して頭がすっきりとするのかもしれません。室内の汚れを取り払うと同時に心のわだかまりも落とす感じでしょうか。

それに掃除を終えると雰囲気もさっぱりとして新たな気分になれます。

その掃除の合間に、娘からの宿題に取り掛かりました。授業でどんぐり拾いをしてきたそうで、これを使って笛を作って欲しいというリクエストです。

こうして「どんぐり」の山を見ると秋を感じますね。どんぐりを触ったのは30年ぶりぐらいでしょうか。。本当に久しぶりで、どんぐりを触るだけで童心に返りました。

16

どんぐりで笛を作れる事を知らなかったので、検索して調べたのですが、単純にどんぐりの中身を取り出すだけのようです。

まずは吹き口を平らに。

17

ピックアップしたどんぐりに穴を開けます。手っ取り早くドレメルを使いました。

18

どんぐりにビットを当てると、結構な硬さを感じるのですが、それも外側だけのようで中身はとても柔らかいのですね。初めて知りました。どんぐりといえばリスで、こんなに硬いものをよく食べられるなと思っていたのですが、中身だけを食べているのかもしれませんね。

開けた穴にピンを差し込んで、中身を切り崩しながら取り出してゆきます。感触は栗のようでした。栗を思い出した途端に、取り出した中身が美味しそうに見えたのですが、我慢です。あくまでもこれはどんぐりです。

何個か中身を取り出したのですが、意外に手間がかかるので最後の1つはドレメルの回転数を上げて一気に。ところが、回転数が上がったことで熱が発生し、混ぜられた結果「どんぐりの中身」が「どんぐりの中」で料理されたようです。粉ではなくグルテン状になってしまっていました(この方が取り出しも楽でした)。

19

どんぐり笛の完成です。どうやら穴が小さい方が鳴らしやすい印象です。

一通り、音を出してみて仕上げたどんぐり笛。結構な音量に驚きました。

20

 

昨夜は良い音楽に出会いました。

 

 

 

 

 

少しづつ音が重なってゆく様と、曲の暖急に「泣きスイッチ」を入れられました。歓喜のはずなのですが。。

日常に溶け込んだ音楽はいいですね。

ヴァイオリン製作販売ホーム

ヴァイオリン製作ブログ

ヴァイオリンのオーダーメイド

弓のリヘア

コメントを残す