メディチとメシアの横板とブロックなど

前回は製作の準備が整ったと思いましたが、ライニングやブロックの製材がまだでしたので、それぞれの製材に取り掛かりました。

今回はライニングとブロックには柳材を使用することにしました。2mm厚の薄い板を淡々と準備してゆきます。

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柳材は鉋もかけやすく、力を必要としないので、あっという間に薄くなります。

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一通り製材したのがこちらです。製材後に元の木材の状態に戻してみました。四角くぶつ切りされた材がブロック材となり、スライスされた板がライニング材になります。

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ブロック材は年輪の向きをコーナーの先端に合わせるように位置どりして切り出してゆきます。今回は底面の平面性を重視しているので非効率な切り出し方です。同じ方向に配列して切り出したものをひっくり返せば目的の年輪の向きを得ることができますが、材によっては切り出せる個数が限られてしまうのはどちらの方法も同じです。

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各ブロックを切り出しました。奥がヴィオラのメディチ用で手前がヴァイオリンのメシア用になります。

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下準備の期間は終わりました。これからは製作に集中するフェーズとなります。

こうして並べてみると、製作キットが手元にあるようにも感じて面白いですね。

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モールドにブロック材を接着して、ここでテンプレートが再登場します。ブロックに載せているだけなのでテンプレート自体は中空になるので、テンプレートに強度を求める理由です。

テンプレートがたわんでしまうと正確なコーナーのアウトラインを印づけられません。

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印づけた部分を切り落とした様子です。この状態でボディの内側に湾曲した部分の横板を取り付けることからスタートとなります。

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横板を取り付けてからブロック材の高さに合わせてはみ出ている横板の高さを調節します。

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ここで再びテンプレートを取り出して、ブロック材の外側の不要部を印づけます。

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ボディの上部と下部の横板を取り付けて、同じように高さを調節してゆきます。

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9割ほど高さ調整が済んだ状態です。下がメディチで上がメシアです。

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ひと段落ついて、午後からは少しだけ東京散歩に。京橋でふと目にした金物屋さん(西勘本店)に誘われるがままフラフラと漂って行きました。

店内には凝った彫刻が施された墨壺や平鑿、鉋などみていて面白いものばかりです。その中で墨流しの平鑿10本組に釘付けとなってじっくりと見せていただきました。販売価格は相応に高価で、羨望の眼差しで見るのがやっとのことでした。墨流しはダマスカスと似ていて(ほとんど同じ?)叩いて伸ばした鋼を折りたたんでから、再び折り返して叩くということを数百回繰り返して作り上げられるので、大変な手間がかかるものです。しかし、その折りたたみ方などの違いで、薬剤処理をした時に浮き出てくる模様が異なり、一本一本がそれぞれの表情を持っていてとても魅入ります。

いつかは手にしたいものですね。

さて、色々とお話を聞かせていただく中で、この金物店は安政二年(1855)から続いていることや、最初は左官コテから始まり次第に刃物や道具類を扱うようになった経緯などお話してくださりました。

特に左官コテは手作りで月に10本程度の生産量とのことでしたが、左官界では西勘のコテというのはとても有名だそうです。コテの内部構造を見せていただいたりして、これまで全く知らない世界だったのでとても勉強になりました。

また有名なのは爪切りというお話も聞いて、記念に爪切りを購入した次第です。

ヴァイオリンやヴィオラなど弦楽器を演奏される方々は爪切りとは長いお付き合いではないでしょうか。私も例外にもれず、楽器ケース、車内、各部屋、各場所に置いており、気がついたらすぐに切れる状態にしています。その結果、増え続ける一方な有様ですが。。

今回手に入れた爪切りは黒のボディにゴールド文字で「西勘本店」と名入れされています。爪切り部分が金属製というのはどの爪切りでも同じですが、この爪切りは親指で操作する部分も金属製なので持った時の重量感が心地よいと感じました。またスプリングの反発力が良い力加減で刃先の切れ味もとてもよく、切りっぱなしでヤスリを掛けなくても十分な印象でおすすめです。

京橋に出かけられる機会がありましたら、爪切りを見てみる価値はあるかと思います。(*爪切りには大と小があり、小の方がスプリングの反発力は高いようです。)

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