横板・リブ(ガーランド) -1-

春の陽気を感じたのもつかの間、寒暖差が大きかったりと体調を崩しやすい時期ですがお身体にはご自愛ください。とくに花粉で悩まされてらっしゃる方々も多いかと思いますが無事に乗り切られるよう願っております。

自分自身も集中していると水分補給を忘れがちで、脱水症手前になることもあり反省しています。1度、脱水で入院したのですが、その直前の感覚を覚えていて、早めに気づく事が出来るようになりました。水分補給のため工房にコンパクトな冷蔵庫を置いておこうかなと考えている今日この頃です。冷蔵庫があればお客さまにお飲み物もお出し出来るので、良いデザインが見つかり次第設置しますので工房でもゆっくりとお過ごしください。

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今日は分数ヴァイオリンのテールピースの交換とその為諸々の微調整をすることから1日が始まりました。

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ウィットナーのアジャスター組込テールピースに

分数のチューニングをペグで行うことは可能ですが、時間が掛かります。ほんの少し回すと1音ほど変化するのでアジャスターは非常に助かります。

そしてE線が駒に食い込んでいたのでパーチメントを取り付けました。

同時に毛替えも行ったので、お渡し前の確認のため松脂を塗布して音出しをしたところ、気になる雑音が出ていたので残りの線にもパーチメントを貼って様子を見ました。駒の整形や魂柱など調整の余地はありそうです。今回はしばらく様子を見てからとなりますが、パーチメントで気になる音も大分抑えられた様子です。

お受け渡しの際、雑音についてお話しさせていただいた所、やはり雑音が気になっていたものの分数だから諦めていたとお聞きしました。今の所は少しは解消されたので暫くは様子を見ていただくことに。

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音色(おんしょく)の兼ね合いもあり、この後に残りの線にもパーチメントを

次のご予約まで少し時間があったので、ツールの磨き上げをしました。底面がアーチの小さな鉋ですが真鍮で作られています。これも数週間前に磨きましたが、ワックスを塗布していなかったので数日でくすんできました。今回は磨き上げてからワックスを使ったので輝きが長持ちすると思います。

毛替えの際にリングやフロッグの金属部分も磨いて綺麗にしていますが、お渡ししてからも輝き少しでも長持ちするようにワックスをかけています。

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手入れされたツールは制作意欲が高まります

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ご来客も終えたところで、次は横板材の準備に取り掛かりました。この横板材は裏板材と同じ丸太から切り出しているので兄弟材です。リブと裏板の杢の繋がり方がナチュラルになるように意識して木取りします。

通常は3枚でリブを作りますが、4枚あるので綺麗に杢を合わせる事が出来ます。

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兄弟材なので一体感が楽しみです

スタート時点で厚みは2.1mmです。これを1.2mm強まで均等に薄くしてゆきます。

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同じメイプルでもネック材や板材は鉋で綺麗な面に仕上がるのですが、横板のように薄い板材は鉋で削ると杢の部分が欠損しやすいです。鉋であれば厚みだしの効率が良いのですが、地道に削る事が結果的に近道となるのでスクレーパーで薄くしてゆきます。

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スクレイパーの削り屑ですが、しっかりと研げていると鉋屑とあまり変わりません

スクレイパーと言えば鋼板に刃を付けたものを指しますが、スクレイパーの役割を鉋に持たせた鉋があります。和鉋では鉋台を調整するときに使う「立鉋」に相当するものだと思います。立鉋は刃の仕込角度が90°前後のようですが、この鉋は110°になっているので前向きに倒れています。一般的な鉋は25°〜60°の間(木材に合わせて)で仕込まれていますので、随分と違う事が感じられるでしょうか。

この角度で効率よく削れる仕組みです(鉋刃の角度も適正がありますが)。鋼板のスクレイパーは便利な一方で均等に削るという点では扱いが難しくなります。鉋に取り付ける事で綺麗な平面を作る事が出来るようになります。

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ある程度の厚みが揃った時点で4枚を同時に加工し、最終的な厚みに仕上げます

横板材は長さがあるので油断していると中央部分だけが削りすぎとなる場合があるので、端から端までを意識しながら、頻繁に厚みをチェックします。

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あと少しで目標の厚みに

どうしても鉋で削りたくなりますが、欠損してしまう事が明らかなので我慢してスクレイパーで地道に整えてゆきます。ここまで来ると、ノギスを1.2mmに開いてダイヤルをロックして、その隙間を横板材がスムーズに通るように引っかかり部分だけを削って均します。

そしてようやく全てが1.2mmの厚みになりました。

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このキャリパーは右も左も判らない頃、とりあえず手に入れたものです。アーチの厚みを測定したくて購入したのですが、測定部分が平らになっているので表板や裏板の厚みを測る事が出来ないと判ってからお蔵入りしていたものです。

アーチ部分の厚みを測定するには測定部分が小さな丸い突起でなければ湾曲面の計測が出来ないのですが、平面を購入してしまった次第です。メーカーさんに持参すれば測定部分を交換して戴けるとの事でしたが、横板のような平板の厚みを測定するには測定部分がこの形状が好都合なので結果として持っていて良かったツールの1つです。

この後はボディの各部分に合わせて板を割り振り、場所ごとに厚みを調整してゆきます。その点では漸くスタートラインに着いたとも言えますね。

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色々な仕入れや資材の購入のほとんどは欧州から発送されてきます。今回は製作ツールで「こんなのがあれば良いな」と思っていたものが見つかったので到着が待ち遠しい気分です。

大抵はトラッキングをチェックしながら楽しみに待つ訳ですが、今回のトラッキングは少しもどかしい感じです。

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赤い星印がスタート地点で、緑のピンが現在位置なのですが、無駄な遠回りをしているように見えないでしょうか(笑)。

少し先の作業で使用するツールなので急いでいませんが、これは今の作業を丁寧にしなさいという天啓なのかもしれませんね。。

 

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