今回のメイプル材には苦労してしまいました。
横板材を各部部分に切り分けて、板を曲げる事「ほぼ」1日掛かってしまいました。大抵は半日でボディ中央部を済ませる事が出来るのですが、少し割れた部分があったのでやり直しを。そうしていると午前は台無しになってしまい、午後を使うことになってしまいました。
妥協に妥協を重ねる事は避けたいので、1つひとつを丁寧に進めてゆきたいものです。もちろん、エラーにエラーを重ねる事があってはいけません。
コーナー部分のテンプレートを使って木型に取り付けたブロックを加工します。

今回はボディ中央部の湾曲”C”バウツに横板を取り付けるので、取付箇所を加工します。ついでにネック部分のブロックとエンドピン側のブロックも加工しました。
表板側と裏板側にマーキングして、カットします。垂直を意識します。
ブロックを整えてから、横板を曲げて接着します。リブを作る一番の難関はこの”C”バウツ部分ではないでしょうか。ボディ上部と下部に繋がる湾曲部分の角度が狭いので横板を曲げる時に割れやすい部分で、最も気を使います。ほんの少しづつ、ゆっくりと曲げてゆくのですが板が薄いので気を抜くと割れに繋がります。
今回は久しぶりに割ってしまいました。少しヒビが入った状態だったのですが使えません。
このような事態は避けられないので横板材を割り振る際には”C”バウツ用に予備を確保するようにしています。板材の長さによっては予備を確保出来ない場合もあるので、そのような時は無駄に緊張してしまいます。。
使わなかった予備が貯まってゆくのですが、他の部分との統一感がなくなるので使い回しは出来ません。
夕方頃に予備板で仕上がりました。横板を曲げて接着という順序ですが、一気に流れ作業をしてしまうとエラーが出てしまいやすいので、各部分の点検などを確認し、1つづつ接着してゆきます。
特に気をつける部分は直角です。表板側と裏板側のどちらも横板が木型へ垂直に取り付けられるかを確かめながら、横板材に歪みが無いように曲げて接着します。
余談ですが、この垂直を簡単に確保するため、薄い板を3枚重ねて木型を作る方法もあります。

今回は横板の固定方法をストラディヴァリに倣って古風なスタイルで固定しました。木型に開けた孔に棒を差し込み、その棒と固定具を糸で縛りつけます。固定具は”B”モデルのパーツを流用しました。
ストラディヴァリもこの様な景色を見ていたのだと思うと何か感じるものがあります。

慣れていない固定方法だったので、膠で接着する前に何度もシミュレーションしていました。横板が正確に曲げられている事、そして糸を縛る順番や固定具を縛り付ける際の力の加え方などのコツを掴むと、意外と楽に固定出来る事も判りました。
つまり接着前の仮固定の際に、この方法で固定出来ない様であれば横板の曲がり具合に問題があるという事なので自然とダブルチェックが出来る仕組みにも感じました。
この”C”バウツの固定方法は本当に色々な方法があるのですが、ストラディヴァリの方法では曲げの正確さが求められます。
ちなみに使う糸は麻紐が滑らなくて最適だと思います。

Cが固着してからボディの上部と下部に取り掛かりました。Cと同じように曲げるのですが、Cほど難しくないので、落ち着きながら進めます。
こちらも”B”モデルのパーツを流用して固定しました。
横板をネック側とエンドピン側のブロックに取り付けて固定させるのは非常に難しかったです。コーナー部分同様に糸で縛り付けるのですが、ストラディヴァリの固定具の寸法だと横板に糸が当たってしまい、確りと縛れません。
無理に縛ると横板が曲がったり、横板に気をつけると糸が緩んでしまったり。接着前の手順確認に時間は掛かりましたが、ウェッジ(楔)を使用する事で解決しました。固定具の寸法を見たときは、その小ささに少し驚いたり不思議に思ったりもしましたがウェッジを使う事を考えれば大きさにも納得できました (どのように使っていたのかは定かではありませんが)。
横板の高さより、やや高めのサイズのウェッジであれば糸が横板に干渉しないので確りと縛れます。またウェッジをスライドさせる事で糸の縛り具合を調整出来るので一石二鳥です。
とりあえずの対策でしたが、もしかするとストラディヴァリもウェッジで糸の縛り具合を調整していたのかもしれませんね (全くの憶測です)。
