弦楽器専用工具など

IBEX / Bending Iron
アイベックス/ベンディング・アイロン

ベンディング・アイロン
ベンディング・アイロン

板材を曲げるこの電熱式のアイロンは弦楽器専用というわけではなく、木工全般で用いられています。これがなくてはヴァイオリン製作は進みません。
サーモスタットが備わっており温度を一定に保つことが出来るようになっており、チェロやギターなどのサイズまで対応できます。ただその結果、ヴァイオリンにとっては湾曲が緩く感じることもないわけではありません。
半田ごてと水道管を組み合わせて即席のアイロンを作ることも出来ますが、安全面も考えてこのアイロンを活用しています。
使用にあたっては素材を水に浸して水分を含ませた状態でまげてゆきます曲げてゆきます。

横の金属シートはアイロンに当てた素材を外側から押さえて固定する役割と、蒸発する水分を素材に当てて曲げる効率を上げる役割があります。

電熱式以外だと、炎に当てて使うタイプのものもあります。焼きごてのような扱い方です。
温度管理が気楽なのはやはり電熱式でしょうか。

Herdim / Marking Caliper
ハーディム / マーキング・キャリパー

あまり活躍しないツールです
あまり活躍しないツールです

表板と裏板のアーチを加工する際に等高線を出すための補助ツールです。
ハンドルを握ると開き、離すとネジ式のストッパーまで閉じるというものです。
設定した隙間以上に閉じないので、板の外側から差し込んで当たったところに印をつけ、その点を繋ぐと等高線が出るという仕組みです。
アーチは様々な方向から目で確認しながら作るので、本来の用途としては滅多に使うことはありませんがアーチを作った後、裏側の粗彫りの際に重宝しています。
アーチの等高線を裏面に映し出すことができるのでどこまで粗彫りをして良いかの目安となります。

とはいうものの、ディバイダーでエッジに沿って線を描くことで目安として作業は進めることができますが、ディバイダーよりも正確に映し出すことができると実感します。

なくても良いですが、あれば時々使うという程度です。。

4mmにセット
4mmにセット
点をつなげます
点をつなげます

上の画像は裏面にアーチの高さ4mm部分を描き出したものですが、エッジの湾曲とは異なっていることが解ります。

この描き出したラインまでは粗彫りして良いという目安となるわけです。

Mach One / Purfling Cutter
マッハ・ワン / パーフリング・カッター

マッハ・ワン / パーフリング・カッター
マッハ・ワン / パーフリング・カッター

マッハ・ワンは近年、人間工学的で独特な機能美を持った肩当てで有名ですが、楽器製作のツールもリリースしています。
パーフリング・カッターは薄い直方体の形状が一般的ですが、マッハ・ワンはパーフリング・カッターも円柱型となっており握りやすく扱いやすいツールに仕上げています。グリップが良いので罫書きに集中することができます。

大工道具で”筋罫引き”という板の端から平行線を引く道具があるのですが、同じような扱い方で楽器の響板の端から等間隔で2重線の罫書きが出来る2枚刃を持ったツールがパーフリング・カッターです。
楽器は曲線で構成されているのでその曲線に沿って罫書くことが出来るように基準軸が円柱形となります。

カッターといえども、このツールだけでパーフリングを入れる溝を切ることは至難の技です。パーフリング・カッターで罫書き、アートナイフで深く切るという手順が狂いも抑えられ安全に感じているのでそのような扱い方をしています。

エッジにしっかりと当てて罫書きます
エッジにしっかりと当てて罫書きます

パーフリング・カッターが不得意とする箇所がパーフリングが合流するコーナー部分です。ここはエッジとパーフリングの湾曲率が異なるのでテンプレートを準備し、鉛筆でマーキングしてアートナイフで溝を切ることになります。

パーフリングが合流するコーナーはパーフリング・カッターは使えません
パーフリングが合流するコーナーはパーフリング・カッターは使えません

一連の画像は表板・裏板をリブに接着した後にパーフリングを入れる「後入れ」ですが、表板・裏板それぞれを切り出してアウトラインを整えてからパーフリングを入れる「先入れ」の方法もあります。