測る

測るツールとしては長さや距離を測るものがメインとなります。

Starrett / Combination Squares
スターレット / コンビネーション・スクエア

スタリットのスクエア
スターレットのスクエア

直角性・垂直性を確認するためにはスクエア(台付きスコヤ、以下スクエア)が必携となります。何かを作る場所には必ずある、直角や垂直を確認するL字型のシンプルなツールです。

JIS1規格とJIS2規格があるようですが、その区別は精度によって分けられています。
非常にシンプルなツールでありながらも全ての始まりとなる重要な役割を持っていますし、至る場面で手に取られる事となります。また、仕上げでの確認もこのスクエアが用いられるわけです。

始まりであり、終わりである。。といっても過言ではありません。

シンプルであるが故に奥の深いツールです。
日本のスクエアは価格に対しての精度の高さは広く知られており、海外では人気があります。
ホームセンターでは必ず陳列しているので必需品というイメージもありますし、安価な商品という印象もあるのでは無いでしょうか。

実のところ、このスクエアはピンキリです。
JIS規格と焼き入れがされているか否かによって、高価なものは目が飛び出るほどです。

精密機械部品に携わる生業ではこの精度が特に重要になります。もちろん木工でも精度が高いに越したことはありませんが、少なくとも程々のものは常備しておきたいところですね。

私も当初からホームセンターで手に入れた日本製のスクエアを長く愛用していました。長年使っているうちにワークベンチ(作業台)から落としてしまうということが度々ありますが、まだまだ使えています。因みにスクエアは丁寧な扱いが必要とされます。

ホームセンターにて購入したスクエア
ホームセンターにて購入したスクエア

こちらのスクエアはほぼ垂直なので、厳密な金属加工以外であれば使用上で差し支えはありません。とはいうものの、赤い丸で囲った部分の接合が少し浮いており、目盛りにズレが生じてしまっています。このスクエアの定規だけで済ますのであれば問題はありませんが、その他の定規やノギスを併用するとこのズレはストレスの原因となります。また、誤差程度ですが建てつけに歪みがないわけではありません。

ヴァイオリン製作ではスクエアの出番が数多くあります。
一般的なスクエアは接合部分がしっかりと固定されていますが、時には台が固定式ではなく、自由にスライドして欲しい場合にも直面します。

そのような時に活躍するのが “スターレット”のスクエアです。
特徴は5つあります。
1) 台が自由な位置にスライドし、固定できる事
2) 90°はもちろん45°にも対応
3) 台に罫書き針が内蔵
4) 台に水平水玉レベルが内蔵
5) 鍛造されている
6) 目盛りが0.5mm刻み

定規にレールが切られており、そのレールに沿ってスライドすることが出来ます
定規にレールが切られており、そのレールに沿ってスライドすることが出来ます
角度
角度
内蔵された罫書き針を抜いた状態
内蔵された罫書き針を抜いた状態
水玉レベルがついており水平性の確認も同時に行えます
水玉レベルがついており水平性の確認も同時に行えます

焼き入れがなされているので、堅牢性は抜群です。だからと言って手荒に扱うわけではありませんが。。

精度も高いと同時に包容力も寛容なのでこちらのスクエアが非常に気に入っています。

筆記具で考えればボールペンで十分なところ、趣向のため万年筆を使うと言えば伝わるでしょうか。

製作によってはツールを手作りすることがあるのですが、そのような時もこのスクエアがあってこそ。そのような意味もあり、基本の中の基本となるツールであればあるほど、より良いものをと考えています。

安価な物とそうではないものも見た目には精度の違いは判りづらく、そんな価格差に対してどれほど物が違うのだろうかと疑心暗鬼を生じてしまいますが、このように比較すると一目瞭然です。。

精度の差
精度の差

左は冒頭の接合部に難ありのスクエアで、右がスタリットのスクエアです。左はやはり接合部にズレが有るだけでなく、上下共に1/3程が反っている(歪んでいる)ことが判ります(長年の仕様による経年変化もありますが)

これだけの差があるものなのですね。。良いものは良いツールから生まれます。

Starrett / Dial Caliper
スターレット / ダイアル・キャリパー

ダイアル式のノギス
ダイアル式のノギス

ノギスといえばスライドパーツに小数点以下の数字が刻まれていて本尺の目盛りと重なる箇所を読み取るバーニア式を思い浮かべるかと思います。
その他、デジタル表示もありますがダイアル表示のノギスもあり、どちらもより細かい計測が可能となっています。
また数値の読み取りも一目でわかりやすくなっていることから誤認も防ぐことができます。

バーニアは機構がシンプルなので少々荒っぽい扱いでも故障とは無縁なので以前は好んでバーニアを選んでいました。それでも数値の読み取りがアバウトになるので、次第に物足りなさを感じてデジタル式に乗り換えたのですが、使用するたびにゼロをセット(ボタン操作のみ)する必要があり、なんとなく信頼感に欠けていました。

それからは、ダイアル式を使うようになりました。0.02刻みですがダイアルの回転が目で見てわかることと、表示も読み取りやすいというメリットが気に入っています。
腕時計もデジタルより機械式が好みなのですが、ノギスについても嗜好の方向性が同じなのだなと時々思います。なぜか安心感があるのですね。
例えば待ち合わせの時間までの間だと、残り5分の場合ではデジタル時計だと表示を見るたびに「あと5分しかない」という焦りが出てしまうのですが、同じ残り5分でも針の盤面を見ると「まだ5分ある」という感じ方の違いでしょうか。

下の画像では半加工のサドル(テールピースのガットが載るパーツ)を計測しています。
本尺が44mm、ダイアルが0.1の手前の0.08mmなので44.08mmと読み取ることができます。

44.08mmと読めます
44.08mmと読めます

ノギスをゼロに戻した時にズレが発生していればダイアル盤の下のスクリューを緩めると盤面が回転するので、その方法でリセットさせます。
また、ダイアルの隣右下のダイアルで微動送りができます。

内部は全て歯車の機械式なので木屑や粉塵に弱い点を除けば、とても信頼感のあるノギスです。

6″ Starrett Divider
スターレット / 6インチディヴァイダー

%e3%83%86%e3%82%99%e3%82%a3%e3%83%8f%e3%82%99%e3%82%a4%e3%82%bf%e3%82%99%e3%83%bc
ディヴァイダー

印をつけるでも取り上げたディヴァイダーです。左右の対称性を確保するときに重宝します。

Veritas アルミ・ストレート定規 60cm

%e7%9b%b4%e5%ae%9a%e8%a6%8f
Veritas アルミ・ストレート定規 60cm

こちらはアルミ素材の直定規です。定規といっても目盛りはついておらず、その役割は平面性を確認するためのだけの物です。アルミ素材といっても厚みと長さがあるので結構な重量感を感じます。

平面にしたい、あるいは直線にしたいというときにこのストレート定規を様々な対角線で作業面に当てながら凸部に印をつけます。そしてその凸部を少しずつ削るといった使い方をします。最終的には凸部がなくなるので、照明に当てて隙間がなくなれば面出しの完了となります。

直定規が反ったり歪んだりすると元も子もないので、これぐらいしっかりしていると安心感があります。ちなみに定規面は片面、定規の中央部分での誤差±0.076mm以下とのことでした。

Thickness Gauges
シックネス・ゲージ/厚み計測器

用途に応じて使い分けるため2種あります
用途に応じて使い分けるため2種あります

厚みを計測するシックネス・ゲージは必須となります。懐(ハンドル部の奥行き)のサイズによってチェロまで使用できるものがありますが、画像のものはヴァイオリンやヴィオラ、ギターなどに用いることができるサイズのものです。

メモリ部分
メモリ部分

メモリはダイヤル式で、どちらも読み方は同じです(この2つはたまたま同じメモリの読み方ですがメモリはメーカーごとに異なります)。小さなダイヤルが一桁単位で、読み方は時計回りに数字が小さくなります。外側の大きなメモリは小数点以下のメモリとなり、時計回りに数字が大きくなります。

横板を計測してみると次の画像のようになります。

横板の厚みを計測
横板の厚みを計測

少しピントが甘いですが小さなダイヤルは1と2の間なので1mm台ということで、外側のメモリが21を示していますので0.21mmと読むことができます。つまり1.21mmという厚みであるということがわかります。

懐のサイズ違いで2種準備していますが、違いは計測部分にもあります。

小さい方は計測部が平らとなっており、平面状(横板など)の計測に向いています。これに対して大きい方は受けて側がドーム状で針部がボール状になっており、ヴァイオリンのアーチになった部分をピンポイントで計測できるようになっています。

計測部が平らになっているか点になっているかの違い
計測部が平らになっているか点になっているかの違い