今日は風の強い一日でした。少し作業をしたのでブログを更新です♬
今回のネック材は十分な大きさで木取りも良い部位でしたので補強材は接着せず、そのまま目的のサイズまでダウンサイジングさせます。
垂直がしっかりと出て、必要な寸法になるまで台形から直方体へと鉋で削るのみです。
垂直性と直角性が出ていなければ切り出した時にズレが生じたり歪みのあるネック・スクロールとなってしまうので意外と時間が掛かります。
少し話が脱線しますが、時間があり、Youtubeでギブソンのアメリカ工場ツアーという動画を見ていました。一通り観ての感想は「コンピューター制御の加工工場ですごい!」というものでした。ネックセットや仕上げ等、人の手を重要視する工程もありますが、何より全ての加工がNCルーターやプレス機などで非常に効率よく進められていることには驚きました。生産数を考えると当然のスケールだとは思いますが、効率の良さに感嘆の一言です。
また一番感心したのは木工加工が済んだ仕上げ前の状態で3Dスキャンに掛けて検品している箇所でした。10分から15分で検品が終わるようで、ここで弾かれたものはリペアや修復を経るとのこと。人の目以上に厳しいですが、こういったファクトリーでは重要な品質管理の一面ですね。
ファクトリーの案内人によると人の手作業が重要な箇所では「オールド・スクール」という単語がよく使われていますが、「原点」や「古来の」という意味合いでしょうか。そう考えるとヴァイオリンの製法はそのほとんどがオールド・スクールですね。色々と製法も進歩が進んではいますが、良き楽器はオールド・スクールのものは良いオーラを纏っている気がします。
話を戻すと、そういった動画を見た後での作業でしたので、NCルーターは夢だとしても「自動鉋盤くらいは欲しいな」と正直心が動かされました。特にこのネック材のように垂直性や直角性、厚みなどはっきりとしているものに対しては非常に便利なのですが機械のメンテナンス、安全確認、使用頻度など諸々を考慮すると自然と手作業に落ち着いてしまいます。
やはり、手作業には手作業の良さがあるように感じますし、丁寧に進めることが安心感にも繋がります。そして少しだけですが木材の繊維質や細胞にも優しい気がします(そこまでの影響があるのかは不明ではありますが。。)というわけで当工房ではオールド・スクールですね♬

製材を終えたのでテンプレート作成に移りました。大きめの材だったので良い部分を残してギリギリまで落とした結果、年輪の積んだ揃いの良い材料となりました。年のために図面を材に当ててみるとギリギリのサイズに。

テンプレート作成は簡単ですが、全てのスタートなのでやはり綺麗に作りたいものですね。

紙ごと糊付けしてアウトラインを切り出すと楽ですが、どうしても歪みがちになります。紙の段階で切り出してから硬化プラに貼り付けて切り出すという一手間を掛けるだけで綺麗に切り出せるように感じます。

切り出し後はヤスリでラインを整えます。後はスクロールとペグ孔を穿孔すれば完成で材の切り出しに移ることができます♬