木釘

だんだんと寒くなってくると同時に乾燥の季節にもなってきました。気がつくと手がカサカサでハンドクリームを手放せません。。

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ヴィオラ「メディチ」は表板と裏板の内側を削って、厚みを整えながら音程の調整などを施してバランスが取れるようになりました。次はF字孔を開けて、バスバーの取り付けです。

まずはF字孔です。ボディ全長からF字孔の位置を割り出し、左右の対称性やバランスを考慮しつつ、テンプレートで下書きをします。テンプレートからFを写すと鉛筆の太さの関係などからどうしてもF字孔が小さくなり気味なので、この時点で最終的な大きさも予測を立てておきます。

ヴァイオリン工房IL_VIOLINO_01

そして切り抜きです。今回は何故か時間が掛かってしまい半日ほどを要しました。形状を整えて、時間をおいて冷静になってから見直して調整を施すということを繰り返します。まだノッチ(切り欠き)を入れていませんが、今後も気になるところが出てきたときに調整できるように最後にノッチを入れます。

常に冷静でいられれば余計な時間は減るのかと思いますが、なかなか冷静でい続けることは難しいですね。集中してしまうと視野が狭くなってしまうのでなおさらです。

表板をリブへ接着するまでは加工のチャンスがありますので、焦らず慎重に。

ヴァイオリン工房IL_VIOLINO_02

そんなF字孔もひと段落したので、次はバスバーの接着と加工に移りますが、ここで一旦リブをモールドから取り外したいのでその準備として木釘を準備しました。

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木釘は表板と裏板をリブへ接着する際に、接着の位置がズレないように固定するための杭です。パーフリング付近に位置をとって、ブロック材まで差し込むようになっています。最終的には飛び出した部分は切落とすので痕跡は残ります。

(ここではヴィオラですが)ヴァイオリンをボディにする際の方法と順序には数パターンあり、その中には木釘を使わない方法もあります。

木釘の有無で音は変わりませんが、どんな手順で作ったのかヒントの一つとなる場合もあります。また外観のアクセントになったりも。この木釘の有無は外観的に好みが別れる部分かもしれませんが音に影響はありませんので、特にこだわる部分ではないことである点も心に留めてください。

では木釘についてですが、例えば次の楽器には木釘が使われていません。

03
木釘1

 

ここからは木釘の痕跡がある楽器ですが、その位置はバラバラです。無造作に差し込まれたような木釘。

02
木釘2

 

すこしパーフリングに近づけて、痕跡を目立たないようにしたであろう木釘。

01
木釘3

 

美意識が高められた木釘。パーフリングに半分埋まるように位置どりされた木釘。木釘の材もボクスウッドかメイプルを使っているのか裏板の色合いと馴染んで綺麗な痕跡です。おそらくステインの染み込みも考慮して丸棒を作ったのかもしれません。

04
木釘4

 

板のアーチを作る前にパーフリングを入れるのか、ボディになった後にパーフリングを入れるのかという違いでも木釘の位置どりは変わります。

パーフリングが先に入っていれば必然と木釘画像1~3のどれかになります。木釘画像4は木釘を使ってボディを完成させてからパーフリングを入れることによって出来る痕跡です。

またパーフリングを後に入れた場合でも木釘画像1~3のパターンは考えられます。

このように色々なパターンが考えられるので作家の性格が現れているような気がします。個人的にはどのような位置どりも味わいがあって好きなのですが、今回は木釘画像4のようにパーフリングに埋もれさせて木釘は半分以上見える状態を目指します。その痕跡も一つの表現としたいので木釘画像2のように濃い色合いの木釘を使用する予定です。

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まずは裏板から。

ヴァイオリン工房IL_VIOLINO_03

 

パーフリングが入っていないので、あてずっぽうに孔を開けることができないので、パーフリングの入る予定ラインを下書きします。

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少し見辛いですが、2本の線を描きました。

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リブと裏板を慎重に合わせて、固定させます。

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最終的にアウトラインを若干削り込む予定なので、その余地を勘案して孔を開ける中心を印づけます。

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開けました。

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この画像のようにブロック材まで孔を開けます。もう少し外側だと横板とぶつかる位置ですがこの場合、ヴィオラなのでまだ余裕があります。

ヴァイオリンで木釘をパーフリングに埋もれさせる場合はブロックと横板のギリギリの場所に孔が開くので、特に慎重さと事前の測定が必須です。その観点からは木釘画像2と3は安全な位置どりとも言えます。

実際に木釘を差し込んでみました。拡大している部分がパーフリング部分です。現状では少し重なっている状態ですが、アウトラインを修正した後にはパーフリングの位置もやや内側に移動するのでちょうど良い印象です。

ヴァイオリン工房IL_VIOLINO_09

 

表板も同時に木釘の準備をして、明日はリブをモールド(内型)から取り外します。

 

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その準備をしていると、注文していた書籍が到着です♪普段、漫画は読まないのですが、オンラインの立ち読みで気になって読んでみると面白かったので書籍で購入しました。データ購入は保管場所も必要ないので便利ですが、気に入ったものは手元に置きたいですね。

漫画を購入したのは「のだめ」以来です(笑)。この「青のオーケストラ」現在は2巻までしか出ていないのですが、早くも続きが気になって仕方ありません。

ヴァイオリン工房IL_VIOLINO_10

 

 

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