ヴィオラのボディが組まれ、残すはパーフリングのみとなりました。パーフリングも同時に済ませてしまおうと思い、ヴァイオリンの厚みだしと組み上げに取り掛かっています。
ヴィオラですが、リブに裏板を接着して飛び出ている木釘を表面と同じ高さに整えます。
木端を削り落としてゆくので、繊維に沿って割れやすいので色々な方向から均一に削り落としてゆきます。
このような感じで裏板が終わり、表板も接着しました。ボディが組み上がると立体になったという印象が大きいので一安心ですね。これから時間をかけてアウトラインを修正してゆきます。アウトラインに沿ってパーフリングを入れるので、アウトラインが綺麗な曲線となっていなければパーフリングも歪になってしまいます。
今はヴァイオリンの厚みを作るために裏側を削り込んでいます。11月末までにヴィオラのボディ、12月末までにヴァイオリンのボディと予定を立てていましたが、ヴィオラは数日ほど遅れました。これはヴァイオリンのアーチも同時に進めていたことが原因ですが、そのおかげで12月中旬頃にはヴァイオリンのボディ組み上げが終わりそうです。予定していたよりも早く終わりそうなので年内にはそれぞれのパーフリングを象嵌してボディが仕上がるように考えています。
ヴィオラも良い感じに仕上がって来ているので、気分転換に自分用に準備していた肩当てを下ろしました。オランダのメーカー、ウルフの「スーパー・フレキシブル」という肩当てです。
個人ではヴァイオリンでもウルフの肩当てを使うこともあります。特に高さ調整が気に入っているのでヴィオラにも使える「スーパー・フレキシブル」を開けました。名前の通りヴァイオリンとヴィオラのどちらにも使えるスーパーな肩当てです♪
せっかく開封したのでどのような肩当てかご紹介も兼ねたいと考えました。
透明の袋には次のように説明書と肩当て、そしてスペーサーというプラスチック製のチューブが同梱されています。下の写真では少し見辛いですが説明書の右側に立っているチューブです。
説明書は図解タイプです。
肩当てを横から見ると肩に当たるフォームと金属製パーツが確認できます。
このフォームが柔軟性がありフレキシブルになっていて、肩に載せるだけで肩に合う湾曲になります。
もちろん捻れ方向にも対応します。
ここから金属パーツを見てゆきましょう。まずは楽器の幅に合わせる機構からです。ヴァイオリンとヴィオラに対応するように伸縮タイプの金属棒が収められています。これは硬いゴムで固定されているだけなので少し力を入れて伸ばしたり縮めたりすることで楽器の幅に合わせて調整できます。
伸ばした状態。
縮めた状態。
では高さ調整の仕組みです。太めのネジを回転させて上下させることが出来ます。
ネジの太さがあることと、ネジの緩みを防ぐために取り付けられた根元のゴムによってしっかりと止まります。
ここまでは一般的な肩当てと変わりはないのですが、ウルフの良さはさらに高さを調整することができる点です。
太めのネジの中に細いネジが仕込まれており、上の画像の状態から「さらに」高さを持たせることが可能なのです。
この状態でも問題なく使用できるのですが、より安定感を確保するためにスペーサーを取り付けます。
スペーサーはネジが切られていないので固定具を完全に取り外して固定具のネジを通すだけです。
その後、太いネジに固定具を取り付ければ安定した状態で延長させることが出来ます。
このスペーサーはG線側用に短いものとE線側用に長いものが付属しています。
ではどのくらいの範囲で調整できるのかを見てみましょう。フォームの身体側から固定具の楽器側までの高さを測ってみました。
まずはG線側からです。一番低い状態で約44mmでした。
太いネジを最大に伸ばした状態では約54.5mmです。
ここからスペーサーを使わずに少しだけ伸ばすという使い方もできます。ここでは約62mmでした。
G線側用の短いスペーサーをぴったりに取り付けた場合約65mmです。さらに伸ばすことも可能です。
続いてE線側です。もっとも低い状態で約36mmです。
太いネジを最大限に伸ばした状態では約49mm。
ここから少しだけ細いネジを伸ばした場合、約58.5mm。
スペーサーをぴったりと取り付けた状態では約69.5mm
結果としてスペーサーを使用した状態ではG線側は44mm~65mm、E線側は36mm~69.5mmの範囲で調整が出来るという事がわかりました。これだけでも十分な高さですが、スペーサーを使用せず、安定した状態を保ちながら伸ばした場合は最大80mmまで高さを出す事ができます。
スペーサーを取り付けて太いネジを下げる使い方やスペーサーを使用せず太いネジを上げて細いネジを少しだけ上げるという使い方など、調整方法は多様です。
ヴィオラに取り付けた状態。
ヴァイオリンに取り付けた状態。
このように並べて見ると印象が異なります。どちらも同じ肩当てですが、しっかりと対応しています。
私がウルフを気に入っている理由は高さ調整にあります。多くの肩当てで不自由は感じていませんでしたが、ウルフはより快適な高さに出来るという印象です。適正な高さでしっかりと構える事ができれば首への負担も軽減される感じがします。
身体が多様な限り、肩当ても多様性があればそれに越したことはありません。肩当ての高さに問題を抱えられている場合や肩へのフィット感が気になっている場合は検討の余地があるかと思われます。
肩に当たるフォームは張力だけで固定されているので、不安定感が感じられる場合はアルミプレートが取り付けられた「フォルテ・セコンド」や「フォルテ・プリモ」がお勧めです。これらのプレートは柔らかいので、自分の身体の湾曲に合わせて曲げられるようになっています。
重量比較ですが、ヴィヴァ・ラ・ムジカと比べてみました。
ヴィヴァ・ラ・ムジカが66.62gに対してウルフの「スーパー・フレキシブル」は92.42g。
最後に、これまで使ってきて唯一の難点を挙げます。
それは金属部分が錆びやすいという事です。上記の画像の通り伸縮式のシャフト部分や角度調整部分の金属はメッキなどのコーティングが施されていない剥き出しの状態となっています。長く使用しているとこの金属部分に自然と錆びが発生してしまい、外観が好ましく無くなります。また、角度調整部分が擦れて緩くなる事もあり、そのため何度か購入を繰り返しています。。
とはいえ6年ほどは問題なく使用できますし、楽器のお手入れと同時に556など潤滑油を金属部分に塗布することで錆びを防ぐことは可能です。
もっと肩当ての高さが欲しい場合はもちろん、ヴァイオリンとヴィオラを演奏される方であれば外出時の肩当てが一つで事足りるなどメリットはあります。
ヴィオラのボディが組み上がったので取り付けてみようと思い開封してみましたが、肩当て選びのご参考になれば幸いです。
スーパー・フレキシブル
¥7,020- <¥6,500(税抜)>
スーパー・フレキシブルはウィリー・ウルフによって発明された最初の肩当てです。パッドにサイズ調整システムを備えただけの肩当てで、ウルフがもたらした最も多目的な肩当ての1つになっています。
- 高さは8cmまで調節可能で、任意の角度に調整可能
- より快適に調整可能な自由度
- 4/4から3/4サイズのヴァイオリンとすべてのサイズのヴィオラに適応
その他ウルフの肩当てについてはウルフのページをご参照ください